乳腺腫瘍切除、歯石取り、口腔鼻腔ろう
今回ご紹介させていただくのは、16歳のミニチュアダックスフンドの女の子です。県外からご来院されました。
他院にて、高齢ということで手術が難しいといわれ、様子を見ていたようですが、食欲も元気もあり、まだまだ頑張ってくれるという期待から手術を検討したいとのことで来院されました。
レーザー手術なら高齢でも負担が少ないという話を聞いたとのことでした。
初診時に診察をしたところ、乳腺の下の方がかなり大きなしこりになっていてがっちりとくっついているようでした。
初診時のレントゲン検査では、肺転移も明らかなものはありませんでした。血液検査では、腎機能の低下が見られました。
すぐに手術するには腎臓機能が不安であったため、まずは腎臓病の治療を始めました。
腎臓病の治療を行ってから、10日程度で血液の値も落ち着いてきたため、手術を行うことになりました。
手術は、炭酸ガスレーザーを使って、出血のリスクを限りなく減らし、術後の腫れや痛みも減らすことができます。
手術中も、安定しており、比較的短時間で切除できたため、希望があった歯石取りも行いました。
口の中を見てみると、左上顎に穴が開いており、口腔鼻腔ろうを形成していました。
このままでは、口にものを入れるたびに鼻の中に入ってしまうため鼻炎をおこします。
今回炭酸ガスレーザーを使って、同時にこちらの手術も行いました。
無事手術も終了し、速やかに回復してくれ、次の日にはいつも通りご飯を食べてくれました。
病理検査の結果は乳腺癌でした。完全切除できているとの結果でしたが、今後は肺転移に注意していかなければなりません。
食欲が落ちることなく無事に抜糸も終わり、これからは地元の病院で腎不全の経過もみていただくことになりました。残りの生活が快適であることを祈ります。