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肥満細胞腫(日帰り)

今回ご紹介させていただくのは、14歳の分離不安のあるトイプードルの女の子です。

飼い主様がちょっと前にしっぽの付け根にやわらかいしこりがあることに気づき、来院されました。

 

診察してみると、2cm大のしこりがしっぽのちょうど付け根にありました。場所がやっかいなところなので、針をさして細胞を調べる検査をしました。結果は悪性の癌である、肥満細胞腫でした。

 

しっぽの全周の約半分を占めるほどの大きさだったため、手術で切除した後の縫合が難しいほかに、悪性の癌なので、大きく切除する必要がありました。

 

手術当日は、炭酸ガスレーザーを使用してしっぽごと切り取る断尾手術を行い腫瘍を切除しました。炭酸ガスレーザーを使っているので、出血はほとんどなく、スムーズにしっぽごと切り取ることができ、その日のうちに日帰りで帰ることができました。

 

術後も順調で、次の日から普段通りの生活ができて、痛みもなく、食欲もいつもと同じ量食べれたとのことでした。

この子はお母さんと少しでも離れてしまうと寂しくなってずっと鳴いてしまうので、日帰りでお母さんと一緒に夜過ごせたこともよかったのだと思います。痛み止めもしっかりさせていただいてるので、夜も痛がることなく過ごせたそうです。

 

このように、悪性の癌でしっぽや足ごと切除しなければならないケースはよくあります。そのような場合でも、炭酸ガスレーザーを使って手術を行うことで、ほとんどの症例で日帰りができます。それくらい手術中のダメージが少なく、術後の腫れや痛みが少なく行えます。

 

今回のワンちゃんも高齢で麻酔や術後の心配があるケースでも比較的安心して手術が行えるので、レーザーはとても素晴らしい医療機器だと改めて満足しています。

病理検査の結果も断尾により完全切除できているとのことで、今回の摘出によって良好な予後が期待できるとのことでした。

 

あとは、再発もなく無事に寿命を全うしてくれることを祈ります。