肛門周囲腺腫・体表腫瘤・去勢手術(日帰り手術)
今回ご紹介させていただくのは、14歳のシーズーの男の子です。
肛門の周囲にできものができだんだんと大きくなっており、腫瘍から出血もしているという事で三重県からご来院されました。
過去に2回地元の病院で、手術していただいたそうですが、再発を繰り返してしまって今は出血してしまうため、紙おむつをたえずしているそうです。
診察ささせていただくと、肛門を覆うように、とても大きな腫瘤ができてしまっていました。また、その大きな腫瘍の他にも肛門の時計の12時から3時の方向にも1カ所、4時から9時の方向にも大きな腫瘍があり、全部で3カ所腫瘍ができていました。またとても脆くすぐに出血してしまう状態でした。
心臓や肝臓なども悪く前立腺肥大もあり、薬を飲んでいるそうで、様々な問題を抱えていました。
こちらが手術前の写真です。
肛門が隠れてしまうほど大きな腫瘤ができてしまっています。これでは、毎回排便のたびに、大きな痛みをともなっている事でしょう。
高齢であり、心臓や肝臓などの問題もあり、術後の合併症の便失禁などの心配はありましたが、飼い主様もこのままほっておくことはできないと、手術を決断されました。
大変な手術となりましたが、無事肛門周囲にできていた3カ所の腫瘤を取り除くことができました。
こちらが手術後の写真です。
また前立腺肥大の問題などもあり、肛門周囲にできる腫瘤はホルモンと関連していることがありますので、今回同時に去勢手術を行いました。また背中や首にできてしまっているできものも同時に切除できるならとってほしいと言う事でしたので、すべて同時に行いました。
手術も無事終わり日帰りで三重県までもどられましたが、術後は翌日からご飯もしっかりと食べ便もしっかりできて肛門もきちんとしめることができているという事で心配されていた便失禁もなく、オーナー様も安心された様子でした。
これからは、紙おむつのいらない生活で、快適にすごしていただけたらと思います。
病理検査の結果は、良性の肛門周囲腺腫でしたので、去勢手術を同時にしておいてよかったです。また病変の取り残しなく完全切除できているとのことでしたので、これから違和感なく元気に過ごして頂きたいと思います。