頭部腫瘤切除手術 肥満細胞腫(日帰り)
今回ご紹介させていただくのは、3歳のラグドールの女の子です。
以前から、右耳の付け根にできものがあり、他院にて内服で様子をみていました。最終的に手術を勧められたとのことで、当院に来院されました。
初診時のチェックでは、右耳の付け根と耳の後ろがわの2か所に腫瘤があり、細胞をとって検査をしたところ、両方とも肥満細胞腫という皮膚の悪性腫瘍の細胞が認められました。
手術を前提として、全身の検査も行いましたが、血液検査やレントゲン検査、超音波検査でもその他の問題は起こっていませんでした。
今回の手術は、皮膚の悪性腫瘍ということと、腫瘍の場所が耳介付け根にあり、切除の方法を考える必要がありました。
通常、悪性腫瘍の場合、しっかりとしたマージン(正常な皮膚を大きくとる)をとって切除するため、切り取った後に縫合が難しくなることがあります。今回は、術前に検討して、皮膚縫合が難しくなるようなら、皮膚形成術を行う計画を立てました。
当日は、炭酸ガスレーザーを使って切除を行い、ほとんど出血もなく、スムーズに切除できました。切除は、耳介軟骨までに及びましたが、思ったよりも頭部の皮膚の余裕があり、皮膚形成を行わなくても縫い合わせることができました。
病理組織学的検査の結果、肥満細胞腫で、マージンもしっかりとれているようでした。
術後の経過も順調で、無事に抜糸もできました。
猫の皮膚肥満細胞腫は多発することがあるため、今後も注意して経過を見ていく必要があります。
今回は、無事終了したので良かったです。