尿道断裂整復手術・皮膚形成手術
今回ご紹介させていただくのは、1歳の日本猫の女の子です。
外傷性の尿道断裂を起こし、尿がお腹や後肢の皮下組織に漏れて、皮膚が壊死してしまっていました。
また食欲もなく弱っており、自分で食事をとることもできなくなってしまい尿がうまくだせないので安楽死しかないのかとオーナー様も諦めかけてしまう程、酷い状態でした。
こちらが手術前の写真です。
内出血もひどく皮膚のいたる所に傷があり、組織が壊死をおこし、肢も腫れてしまっています。
まずはじめに、尿道の整復手術を行いました。
断裂した断端を確認して正常な場所に縫合するのはかなり難しかったですが、手術は無事に成功し排尿が自力でしっかりと出来るようになりました。
次に腹部や内股の皮膚はいまだ壊死が進行していたため、死んだ組織を取り除き、下からいいお肉(肉芽)が出た状態になってから、軸状皮弁という手技で皮膚形成手術を行いました。
この方法は、患者さん自身の乳腺の一部を切開し回転させて隣接する欠損部分に移動させます。
術後に癒合不全や血行不良により傷が開きやすいため皮膚の緊張の方向を熟知し、また高度なテクニックが必要な手術です。
手術は無事に終わり、術後の傷の治りもよく皮膚が壊死することなく無事につきオーナー様も安心された様子でした。
御覧の通り皮膚もとてもきれいな状態になり、毛も生えてきました。
食欲も旺盛でおしっこも順調にでて動きもよく、一安心です。