ひだまり動物病院 名古屋市昭和区の動物病院 土曜祝日診療

今回ご紹介させていただくのは、1歳の日本猫の男の子です。

横隔膜ヘルニアと診断を受けたそうで、ご相談にご来院されました。

横隔膜ヘルニアとは胸腔（きょうくう)と言う、心臓や肺がおさまっている胸部の空間と、腹腔（ふくくう）と言う肝臓、腎臓、胃、腸などの臓器がおさまっている腹部の空間を隔てている横隔膜（おうかくまく）が裂けて、腹部の臓器が胸部の方へ入り込んでしまう病気です。

交通事故や転落事故などが原因でおこる場合もあれば、生まれつき横隔膜が不完全な先天性のものもあります。

横隔膜ヘルニアの症状は、ヘルニアの大きさ、入り込んでいる臓器の種類などによって様々ですが、呼吸が浅く苦しそうだったり、元気がなくあまり動かないなどの循環呼吸器系の症状がでる場合や、食欲不振、嘔吐、下痢などの消化器系の症状がでる事もあります。

この子も診察にご来院された際、診察台に乗っただけでハアハアと呼吸が速くなりレントゲンを撮る際に体勢をかえるだけでもとても苦しそうにしていました。

またマーキングがひどく去勢手術も早い段階でやりたいとの事でした。

横隔膜ヘルニアは肺がしっかりと膨らまない状態のため、麻酔のリスクが高くリスクのある手術ですのでよくご相談させていただき、今回は去勢と合わせて手術を行う事になりました。

こちらが手術前と後のレントゲンの写真です。

左側の術前のレントゲンでは、胸部全体が白く写り、肺をしっかりと確認する事が出来ない状態です。

肺が他の臓器に圧迫され、しっかりと膨らまず常に呼吸が苦しい状態です。

お腹をあけてみると、横隔膜が大きく欠損しており肝臓、脾臓、すい臓、胃、腸などの本来ならばお腹の中にあるべき臓器がすべて、胸の中に入り込んでしまっていました。

右側の術後のレントゲンでは、横隔膜が整復されしっかりと肺が確認でき、肺が膨らむスペースが十分に確保できている事がわかります。

これからは呼吸が楽になり元気に生活できることを願っています。