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精巣腫瘤切除、精巣周囲腫瘤切除、肛門腫瘤切除(日帰り)

今回ご紹介させていただくのは、16歳のミニチュアピンシャーの男の子です。

半年前に肛門に小さなできものがあることに気づき、高齢のため様子を見ていたら急に大きくなってきたとのことで来院されました。

診察してみると、肛門の左側で時計の8時の位置に大きさ1.5cm大の腫瘤がありました。肛門から指を入れて直腸検査したところ、奥行きも深いことがわかりました。さらに、この子は去勢手術をしておらず、精巣が左右非対称の大きさで、片側がかなり腫大していました。また、不可解なことに、陰嚢から肛門の方に少しずれた会陰部にも丸くてかたい腫瘤がありました。

レーザーを使って切除していきます。出血が少ないです。

切除して取り終えました。

このような肛門周辺の腫瘤は精巣からの男性ホルモンが関与していることが多いため、可能性として精巣が腫瘍になっていてホルモンの分泌を増やしていることも考えられ、さらに会陰部のしこりもなんらかの影響を受けた腫瘍も否定できないので、今回は、肛門のしこりの切除と同時に精巣の切除(去勢手術)と会陰部の腫瘤切除も行いました。

16歳という高齢ではありましたが、血液検査やレントゲン検査などでも明らかな異常はなかったため、炭酸ガスレーザーを使って出血を最小限にして最短時間で手術を行いました。

次は肛門の腫瘍をレーザーを使って切除していきます。

こちらが腫瘍を取り終えたあとです。大きな出血なく無事に摘出できました。

精巣は片側が5cmまで大きくなっていて、会陰部の腫瘤も3cmにまでなっていて筋肉にがっちりとくっついていました。しかし、炭酸ガスレーザーを使うことで、筋肉からはがす際も出血がほとんどなく切除できます。

すべての切除が終わって、覚醒も速やかであったので、無事予定通り、その日のうちに帰ることができました。次の日からご飯も食べれたとのことでなによりです。

 

このような、高齢でできるだけ手術の負担を軽減したい場合には、レーザー手術がとても有効です。肉体的なストレスを減らし、さらに入院などのの精神的ストレスもなくせるため、本人も飼い主様も喜んでいただけます。

病理検査の結果もすべての腫瘍が取り残しなく完全切除できているとのことでした。

 

あとは、再発等がないように見守っていきたいです。